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議会報告 2004年

議会報告
2004年

平成16年第3回定例会農林水産委員会で質問(抜粋)

水産業の振興方策をはじめ、地元の抱える県政課題を一時間近くにわたって取り上げ、地元の声の代弁につとめました。

● 水産業の振興

西条県議

農林水産業は極めて厳しい環境の中にありますが、漁業は従事者、関係者が少ないだけに、切実な声が県や国に特に届きにくいようです。そのため、まず本県の漁業がどういう状況にあるのか、改めて確認したいと思います。
本県の漁業は、沿岸漁業などの海面と、霞ヶ浦、個沼をはじめとする内水面の二つの形がありますがどのくらい水揚げが減って、あるいはどのくらい金額が減ってどれだけ厳しいのか、推移を伺います。

漁政課長

本県の海面漁業の大きな動きを説明しますと、生産量は昭和61年に112万トンを記録しましたが、現在は一番新しい統計、平成14年で18万5千トンですので、112万から18万トンまで減少したということです。内水面漁業は、大きくは霞ヶ浦ですが、昭和53年に1万7千トンだったのが、現在は約1千7百トンと10分の1に落ち込んでいます。
生産額は平成14年で、海面が125億円、霞ヶ浦が5億7千4百万円ぐらいになっており、いずれも減少傾向にあります。

西条県議

全国の中で、本県はどのくらいに位置していますか。

漁政課長

海面は、昭和61年の112万トンの時は全国2位だったと記憶していますが、平成14年は水揚げで5位、金額で23位です。内水面は統計がそろっていませんが、いつも全国有数と思っています。

西条県議

説明を聞くと、本県は全国でも漁業の占める割合は非常に高い、或いは極めて重要な役割を担っていると思います。農産物の場合はよく自給率が議論になりますが、水産物の自給率はどのくらいですか。

漁政課長

水産物の自給率は平成14年で53%という統計があります。ピークは昭和39年の113%でした。

西条県議

水産業の過去の推移、状況をみると、自給率、水揚げ、金額いずれも減少しているということで、具体的に厳しさが分かりました。そこで今後、漁業をどう振興していくのかということですが、一つには漁業資源をどう回復していくのか、もう一つは今、漁業本体も含め漁業関連産業は倒産が非常に多く、廃業や倒産をどう防止するのかその方策が問われています。
まず、漁業資源の回復です。資源の減少には乱獲とか周期説など様々な議論がありますが、課長は何が一番の原因と考えていますか。

漁政課長

本県の基幹漁業であるまき網漁業、サンマを採る棒受け網など、これらの魚種は、人為的なものというより、大きな海洋変動という形の中で漁獲が大きく変動すると思っておりますので、単純に乱獲といことでは説明できない事だと考えております。また、底に住んでいる魚は一度採り尽してしまうとなかなか資源が回復しないということで資源管理が必要だと思っております。浮き魚についても沿岸漁業についても、これからは資源を大切にしながら管理し、持続的な生産を確保していくことが大切だと思っておりますし、その一方で経営対策というのも必要ではないかという考えを持っております。

西条県議

もう一つ、廃業なり倒産を防止する対策です。漁業者の倒産などを防ぐための制度、仕組みを拡充したり、新たなものを或いは、今後考えている構想があれば伺います。

漁政課長

まき網漁業で説明しましたが、大中型まき網漁業は大臣許可漁業ですので、国に減船の制度があります。それから、県知事が許可する底びき船があります。板びき網漁業という15トンの底びき船がありますが、これについても減船の制度、国の制度があります。しかし、その他は残念ながら今のところありません。

西条県議

鹿嶋市にある県栽培漁業センターではヒラメの稚魚や鹿島灘ハマグリの稚貝などを放流していますが、どのような効果が表れていますか。

水産振興課長

栽培漁業センターでは、全部で5種類の魚介類の種苗生産、放流を行っています。そのうち、効果が一番大きく表れているのはヒラメで、約85万尾ほど放流していますが、平成8年度以降、放流ヒラメの割合がだんだん向上しており、近年では大体の10%を占めています。
貝類についてはアワビを毎年約25万個ほど大洗以北の漁協に販売しており、いわゆる採ほ漁業で非常に大きな割合を占めています。多いところでは8割以上を占めるほど放流アワビの効果が表れています。

西条県議

最後に、農林水産部長に本県の漁業をどう思っているのか、今後具体的にどう対応していくつもりなのか決意のほど伺います。

農林水産部長

茨城県の漁業は大変重要な産業だということで農林水産と一体的に考えていく必要があると考えています。特に漁民の声がなかなか届きにくいのではないかという話しがありましたが、そのようなことがないよう漁業関係者の声を積極的に聞き、漁業振興に努めていきたい。TACを守る、資源管理を行う、そして栽培漁業を的確に進めるといったことを通じて、茨城県の漁業をさらに発展させていきたい。

 

● 逆水門への魚道設置

西条県議

常陸利根川の水門(逆水門)への魚道整備について昨年の質問に対し、知事は積極的に働きかけていきたいと答弁しています。その後、今年度も魚道整備を国に対する要望に盛り込んだり、さらい昨年12月にも国土交省の部長に企画部長が要望をしていますが、具体的になってきているのでしょうか。

漁政課長

現在、そういう検討を進めるということしか聞いていません。具体的には国土交通省で進めていますが、まだ形にはなっていません。

西条県議

そこで、6月18日の新聞報道によると、NPO法人が「汽水域拡大で漁業利潤308億円増加」と言っているように、効果があるのかどうかそいう検討はしていますか。

漁政課長

県ではそういう検討はしていません。ただ、新聞記事の提案というか、シミュレーションについては担当を会議に参加させていますが、ベースとなる単価とか数量が相当過大評価ではないかという評価をしています。

西条県議

報道をみると、逆水門を柔軟運用して汽水域を広げたり魚道を設けたりすることでそれだけの経済効果があるということですが、金額は別にして、どうですか。

水産振興課長

魚道は、霞ヶ浦、北浦の漁業者が早期の設置を要望しています。その背景には私どもでウナギ等の種苗の放流をしていることがあります。ウナギはまだ10トン台の漁獲ですが、天然ウナギは単価が高く、キロ2500円から3000円ぐらいしますので魚道の設置により、ウナギが遡上したり、高いスズキ等も入り込んでくることを当面は期待しているようです。

西条県議

努力をしていることは承知していますが、前向きな結果が期待できるという可能性があるならば、ぜひ積極的に検討されたらいかがかと思います。要望しておきます。

● 臭化メチルの確保

西条県議

土壌消毒などに使われている臭化メチルはオゾン層を破壊する物質とされ、2005年に原則製造中止になるということです。しかし、不可欠用途申請分について、日本は2005年分として284トンを確保したと報告を受けていますが、本県としてはどのくらい使用が認められたのですか。

農産課長

36トンです。

西条県議

その36トンは県内必要量の何割くらいに当たりますか。

農産課長

36トンは平成14年度の第1次申請分で、それに間に合わなかった分として昨年度に49トンを追加申請しています。
この申請は、必要量を全部下から積み上げてきていますので、申請分の85トンが必要量と考えています。

西条県議

そうすると、大筋で足りるということですか。

農産課長

第2次申請分は、11月の締結国会合で検討されますので、これが認められれば農家が必要としている分はある程度対応できると考えています。(日本が申請していた2005年分の不可欠用途申請分は同会合ですべて認められました)

西条県議

こうした例外使用は毎年申請していけば、ずっと認められるのか。翌年からは現状維持はなく、だんだん減らされると思いますが、その見通しを含め伺います。

農産課長

申請は毎年で、議定所締結国会合で承認されなければ認められないことになります。オゾン層保護法が議定書を受けて成立している中では、今後いつまで認められるか私見ですが予断は許されないと思います。

西条県議

いずれにしても、特例的に認められているわけですから、代替技術の検討なり、研究開発を進めていると思いますがその状況はどうですか。

農産課長

ピーマンではいわゆる土壌汚染ウイルスの研究などを進めています。ただ、臭化メチルに代わる効果的な防除法は現在のところ確立されているとは言えないと考えていますが、鹿島地帯特産指導所で鋭意努めています。

西条県議

水産部長 いずれにしても、代替技術や資材の研究とか、ピーマンでは新しい品種の開発などの努力をされていますが、それをさらに今一歩進め、農家が安心して生産を取り組める環境をしっかり構築していただきたいと重ねて要望したいと思います。

 

● ゴミ処理費用の負担問題

西条県議

海岸に漂着するゴミの処理費用問題についてです。ゴミが一定量以下の場合、市町村が負担し1000立方メートル以上の場合、二分の一を補助する国の補助制度があるだけです。量や特定のものに限定せず、制度が弾力的に運用できるような、そういう働きかけというか、努力はできないでしょうか。

水産振興課長

この制度は補助対象が大きすぎるということで、現実には本県で適用を受けたことはありません。従って、国に対して補助要件の緩和をまず要望するということで、いろいろな場で水産庁や国土交通省の整備局に個別に要望してきましたが今後は時期をとらえて、関係各課で一緒に関係省庁に要望していきたいということが一つです。それから、具体的な案件の処理については、現在地元団体等の清掃活動も含め、関係各課で協議をしているところです。まとまり次第、市町村なり国等と協議をしていきたいと考えております。

西条県議

ぜひ、今一歩前に出た対応が迅速にできるよう努力をしていただきたい。

※役職等は当時のものとなります